For You の考える学習支援について
発達障がいでは、見立て(診断と告知)と手だて(治療・療育・相談支援など)はライフステージごとに異なります。
また、一つが単独で存在するのではなく、程度の差はあっても、多くが重複して存在します。
発達障がいは生涯を通じての特性であり、一般的な思考・行動様式から外れているため、本人及び周囲が社会的不適応による困難さを感じることがあります。
低年齢のころから発達障がいの存在に気づき、適切な環境調整と対応ができれば有効な人材活用になるのではないかと考えられます。
そのため、当施設では、医学的側面から作業療法士が関わり、特に学習障がい児に対して支援を行っていきます。
施設概要
施設名称
児童デイサービスセンター For You −南昭和町−
事業所番号
3650100914(平成31年4月1日 指定)
対象者
広汎性発達障害・学習障害・ADHD・受給者証をお持ちの方
利用定員
10名(1日)
営業日
月曜日から土曜日 ただし、12月30日~1月3日を除く
サービス提供時間
9:30~17:30
住所
〒770-0944 徳島県徳島市南昭和町2丁目20番地11
TEL.088-6789-811 FAX.088-6789-822
障害の概要
学習障害(Learning Disorder;LD)は、知能から予測できない学業達成の困難として学童期初期に明らかになります。
医学的定義では、読字障害・書字障害・算数能力障害から構成されます。
現在、LDの病態解明が進んでいるものは、音読障害(発達性ディスレクシア)だけがあげられています。
読字障害は、正確にそして流暢に単語を発音することに苦労し、したがってテキストから意味を抽出ことに失敗します。
● 医学的定義に基づくLD
WHOのICD-10では、LDのは学習能力の特異的発達障害に分類されています。
さらに、「特異的読字障害」・「特異的書字障害」・「特異的算数能力障害」・「混合性障害」に分類されています。
日本の(特異的)読字障害の手順として
- 問診・診察
発達歴・養育歴・教育歴・家族歴・病歴
*知的障害や聴覚障害、視覚障害がなく、家庭環境、教育の機会に阻害要因が認められないことを確認する。 - 知能検査
全般的知能が正常であることを確認する。 - 読み検査課題
①単音連続読み検査(ひらがな50文字を連続して音読)
②有意味単語速読検査(30語の連続音読課題)
③無意味単語速読検査(30語の連続音読課題)
④単文音読検査(3つの単語の音読課題)
判定:1)音読に要する時間と誤りなどエラーを計測。基準値+2SDを超える所見が2種類以上の検査でみられた場合は「異常」と判定。
2)症状チェック表により読み(書き)についての項目で、該当する項目数が規定の個数を超え、読み検査課題2つに異常がみられる場合には、読み能力障害の中の「読字障害」と判定。
●教育的定義に基づくLD
文部科学省1999年「学習障害児に対する指導について」の報告書より、LDの特徴として以下の点があげられています。
- 全般的な知的発達に遅れはない。
- 聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す。
- 障害の原因として、中枢神経系に何らかの機能障害が推定される。
- 視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害が直接の原因ではない。
- 環境的な要因によるものではない。
● 医学的定義と教育的定義の違い
教育的定義では「聞く」「話す」「推論する」という項目が含まれています。
そのため、文字の読みが良好であっても、文章の要点理解が困難になる読解障害を含んでいます。
For You における
アプローチの方針
■ 1.就学前のリスク要因への対処
構音の問題や、リズム運動などの音と運動の協応の困難は、音韻意識の発達不全に関与することが示唆されています。音韻意識に困難を示した幼児には、ブロックやおはじきなどを用いて音韻意識のトレーニングを実施することが効果的であり、文字の読み書きのスムーズな習得につながると考えています。
■ 2.就学前後の読み書き支援
<言語性ワーキングメモリの弱さを示す児童への支援>
言語性ワーキングメモリの弱さをもつ児童への、ひらがなの読み書き習得に関する支援に関しては、相対的に強いと考えられる視覚認知を利用した方法が有効です。ひらがな文字から始まるイラストと、文字を重ねて提示することにより理解を深めます。
<視覚認知・形態の記憶に困難を持つ児童への支援>
視覚認知に困難がある場合、文字形態の弁別や記憶、筆順の記憶が困難になる。ひらがなの読みでは、似た形の文字を混同する誤りがみられることが多くあります。支援にあたっては、相対的に、聴覚的な記憶が強いことが想定されるため、言語的に手がかかりを与える読み書き支援が有効です。
■ 3.学童期のひらがな文の読み書き支援
小学校低学年では、ひらがな文字の読み困難やひらがな単語の流暢な読み困難、特殊音節表記の読み書きの不全が生じやすい傾向にあります。また、これらの困難は、漢字読字困難のリスク要因となり、教科書文章の音読や読解に困難をもたらします。単語カードを作ったり、単語カードを提示し、素早く読む練習をしたりと、授業理解を促進するという目的で介入します。
■ 4.学童期の漢字読み書き支援
<言語性ワーキングメモリの弱さを示す児童への支援>
言語性ワーキングメモリの弱さを示す児童の場合、相対的に強いと考えられる視覚に認知の力を用いた支援が有効です。漢字の場合、部品の位置関係や線分の重なりが複雑であることや、複数であることや、複数の読み方があることに配慮する必要があります。特に抽象的な漢字については、言語性ワーキングメモリの弱さがある場合、その読みや意味を理解することに困難が生じると考えられるため、読み指導の際は、部品のイラストなどに変えて意味も同時に指導することが重要です。
<視覚認知の弱さを示す児童への支援>
視覚認知の弱さを示す児童の場合、相対的に強いと考えられる言語処理を用いた支援が有効です。言語処理が強い児童の場合、語彙が豊富である。読字には困難がないなど、困難が書字のみに顕著に現れる事がある。漢字から手がかりを想起させたり、部首や部品に関する知識を習得させます。
■ 5.学童期の文章読解のリスク要因への対処
文章読解困難に関するリスク要因について検討し、漢字の読み、指示語・接続詞の理解、単文の間の因果関係の理解を必要とします。このことから、文章読解に困難を示す児童のなかには、漢字や単文をうまく読むことができず、読解困難が生じている児童と、文の因果関係の理解などに代表される、複数の小さな命題の関係を理解し中心的命題を把握することの困難が生じている児童がいることに注意します。文頭を( )で示し、あてはまる接続詞を答えさせたり、文章を抜き出し、時系列に並び替え中心的命題を把握する練習を行います。
■ 6.障害特性に応じた読解困難への対処
文章読解に関しては、リスク要因がある場合に加え、LDと併存する他の障害特性によって、文章の読解に多様な困難が生じる可能性があります。リスク要因として児童の特性の双方を考慮し、児童の抱えている困難の背景を注意深く把握することが必要です。
障害のタイプ | 困難の背景・現れ方 | 支援の例 |
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LD |
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ADHD |
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ASDが併存する場合 |
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軽度知的障害 |
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